原著
Prostaglandins,c-erbB-2およびploidyよりみた大腸癌肝転移能の検討
吉田 典行, 金沢 匡司, 水沼 廣, 渡辺 文明, 菊地 洋一, 佐藤 久芳, 安藤 善郎, 竹内 真一*, 土屋 敦雄, 阿部 力哉
福島県立医科大学第2外科学講座, 大原総合病院外科*
遠隔転移のない大腸癌44例と,同時性肝転移を有する大腸癌11例の計55例についてprostaglandin(以下,PGと略記)をDCC(Dextran-coated charcoal)法にて測定し,癌細胞核DNA ploidy patternをホルマリン固定パラフィン包埋標本より測定した.また,c-erbB-2染色をABC(Avidin-biotin peroxidase complex)法にて行い,これらおのおのの関連性ならびにこれらが悪性度の指標となりうるかどうかを検討した.肝転移陽性例と陰性例におけるc-erbB-2染色陽性率には統計的有意差は認めなかった.またc-erbB-2染色陽性例の平均DI(DNA index)は染色陰性例より高い傾向を認め,c-erbB-2発現が悪性度の1つの指標となりうる可能性が示唆された.肝転移陽性例およびc-erbBIII2染色陽性大腸癌のPGE2ならびにPGD2濃度は,肝転移陰性例および染色陰性例大腸癌の濃度よりそれぞれ有意に低く,これらPGsが肝転移に対し抑制的に働いている可能性が示唆された.
索引用語
prostaglandin E2, prostaglandin D2, c-erbB-2, hepatic metastasis of colon cancer
別刷請求先
吉田 典行 〒960 福島市光が丘1 福島県立医科大学第2外科
受理年月日
1994年11月9日
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