Alport-leiomyomatosis症候群の1例

松岡　三正, 大熊　利忠^＊, 山口　卓雄, 内野　良仁, 川元　俊二, 安川　俊文

熊本労災病院外科, 熊本大学第1外科^＊

　食道の良性腫瘍のうち平滑筋腫が最も多い疾患であるが，食道全域にわたりその境界が不明瞭なび漫性の平滑筋腫で，近年1つの独立した症候群として提唱されたAlport-leiomyomatosis症候群の1例を経験したので報告する．症例は23歳の女性で，昭和60年ごろより嚥下困難と胸部圧迫感を自覚するようになった．平成2年10月に撮影した胸部X線写真で縦隔異常陰影を指摘され，食道造影像，胸部computed tomography像およびmagnetic resonance imaging像より胸部食道から胃噴門におよぶび漫型の食道平滑筋腫と診断し手術を行った．手術は食道亜全摘，胃管による再建を行った．肉眼上食道壁より発生した腫瘤を2カ所認め，病理組織検査上食道内輪筋由来の平滑筋腫で，非腫瘤部にも平滑筋腫性病変がみられ，び漫性食道平滑筋腫症と診断した．悪性所見はなかった．本例は陰核肥大やAlport症候群にみられる病変を合併し，Alport-leiomyomatosis症候群と考えられた．

索引用語
diffuse leiomyomatosis of the esophagus, alport syndrome, esophageal leiomyomatosis

別刷請求先
松岡　三正　〒860　熊本市本荘1-1-1　熊本大学医学部第1外科

受理年月日
1994年11月9日

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