原著
リンパ節転移陽性粘膜内胃癌(m癌)の臨床病理学的検討
林 達彦, 梨本 篤, 田中 乙雄, 佐々木 壽英
県立がんセンター新潟病院外科
1966年より1992年までに当科で手術を施行した粘膜内胃癌(m癌)802例のうちリンパ節転移を有する16例(2.0%)を中心に臨床病理学的特徴の検討を行った.結果:(1)n(+)群はn(-)群に比較し,組織型は未分化型癌が多く(p<0.01),腫瘍長径が大きく(p<0.01),年齢は若い傾向があった(p<0.05).(2)n(+)群のうち肉眼分類は,隆起型1例(I型),混合型1例(IIa+IIc型),陥凹型14例(IIc型6例,IIc+III型8例)と陥凹型が多く,陥凹型のうち病巣内消化性潰瘍合併例は12例(85.7%)と高率であった.(3)n(+)群のうち,nl(+)は10例,n2(+)は5例,n3(+)は1例であった.(4)隆起型,陥凹型とも2.0 cm以下のm癌,占居部位(C)のm癌にはリンパ節転移は1例も認められなかった.(5)70歳以上の高齢者のm癌では,n(+)群は1例のみであった.今後の高齢者社会に伴い,高齢者早期胃癌に対しては社会的適応も考慮し内視鏡的治療法などの合理的な縮小治療を積極的に取り入れるべきである.
索引用語
intramucosal gastric cancer, lymph node metastasis, conservative sugery, social indication
別刷請求先
林 達彦 〒951 新潟市川岸町2丁目15-3 県立がんセンター新潟病院外科
受理年月日
1994年12月7日
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