5型胃癌の亜分類とその意義

近藤　正男, 近藤　征文^＊, 東　常視^＊, 長谷川　紀光^＊, 宮内　甫^＊, 白戸　博志, 内野　純一

北海道大学第1外科, 札幌厚生病院外科^＊

　1980年より札幌厚生病院で経験した初発進行胃癌732例中，5型胃癌は258例であり，肉眼的に早期と診断された早期癌型群（53例），肉眼的に進行癌と考えられ，IIcに類似する進行癌としたIIc-ad．群（143例），上記以外の形態を呈する分類不能群（62例）の3群に亜分類し比較検討した．平均腫瘍径は，分類不能群が62.9 mm，早期癌型群39．lmm，IIc-ad．群47.7 mmであった．深達度ではpmの頻度が早期癌型群は64.2％，n0例の頻度は71.7％といずれも他の2群より有意に高率であった（p＜0.01）．脈管侵襲度はly，v因子とも分類不能群が陽性率67.7％，40.3％と高率であった．5生率は早期癌型群83.8％，IIc-ad．群75.0％，分類不能群53.0％で，分類不能群の予後が有意に不良であった（p＜0.05）．以上より，これら3群は，臨床病理学的特徴および予後から異なる群と考えられ，5型胃癌亜分類は予後判定，治療上有用と考えられた．

索引用語
type 5 gastric cancer, unclassified gastric cancer, advanced gastric cancer

別刷請求先
近藤　正男　〒060　札幌市北区北15条西7丁目　北海道大学医学部第1外科

受理年月日
1994年12月7日

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