大腸癌におけるproliferating cell nuclear antigenおよびargyrophilic nucleolar organizer regions染色法を用いた細胞増殖能の検討

丸森　健司, 河村　正敏, 高村　光一, 小松　信男, 保田　尚邦, 津嶋　秀史, 佐藤　徹, 横川　京児, 角田　明良, 渋沢　三喜, 新井　一成, 草野　満夫

昭和大学医学部外科

　大腸進行癌52例に対しproliferating cell nuclear antigen（PCNA）染色を施行し，標本採取部分および標本固定時間による発現率の変化を検討するとともに，argyrophiic nucleolar organizer regions（AgNORs）染色を施行し，PCNA，AgNORs染色両者を用い細胞増殖能を検討した．標本採取部位では正常部→癌中心部→癌先進部の順にPCNA発現率は高くなり，標本固定時間では固定時間が短いほど高くなった（p＜0.01）．PCNA，AgNORs染色両者による臨床病理学的検討では，組織型，壁深達度，脈管侵襲，リンパ節転移，ステージ分類において有意差を示した（p＜0.05）．また，非治癒切除例や治癒切除後の短期再発例ではPCNA，AgNORsとも高値を示し，AGNORsのみ短期再発例で有意差を認めた（p＜0.05）．以上より，PCNAは標本の固定時間による発現率の変化に留意する必要があるが，細胞増殖能を的確に反映し，AgNORsとともに大腸癌の進行度，悪性度の指標になりうると思われた．

索引用語
proliferating cell nuclear antigen, argyrophilic nucleolar organizer regions, colorectal cancer

別刷請求先
丸森　健司　〒142　品川区旗の台1-5-8　昭和大学医学部外科

受理年月日
1995年1月11日

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