症例報告
小網の平滑筋腫の1切除例
佐藤 啓宏, 大和田 進, 森下 靖雄
群馬大学第2外科
小網の平滑筋腫の手術例を経験したので報告する.患者は52歳の女性で,嘔気,左季肋部痛を主訴とした.術前画像所見で,腫瘍の大きさは手拳大であり,腹部CT所見で胃壁との境界が不明瞭であった.血管造影所見で中心壊死を伴う血管増生腫瘍であり,胃平滑筋肉腫を疑い手術を行った.摘出標本で,腫瘍と胃壁とに連続性はなかった.病理組織学的所見は紡錘形の細胞が錯走,増生し,かつ細胞密度が高くcellular leiomyomaと診断した.小網には胃を栄養する血管,リンパ管,神経線維や脂肪組織が豊富に存在しており,その血管壁から発生した小網原発の平滑筋腫と考えた.
索引用語
lesser omentum, leiomyoma, cellular leiomyoma
別刷請求先
佐藤 啓宏 〒371 前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部第2外科
受理年月日
1995年1月11日
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