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第28巻 第4号 1995年4月 [目次] [全文 ( PDF 484KB)]
症例報告

十二指腸microgastrinomaと膵頭部insulinomaを伴った多発性内分泌腺腫症I型の1例

土井 孝志, 佐々木 巌, 内藤 広郎, 舟山 裕士, 神山 泰彦, 高橋 道長, 福島 浩平, 柴田 近, 瀬上 秀雄, 大谷 典也, 岩附 昭広, 海野 倫明, 松野 正紀, 大平 誠一

東北大学第1外科, 仙台市立病院消化器科

 症例は42歳の男性.十二指腸潰瘍に対し広範囲胃切除術施行後上腹部不快感が持続し,内視鏡検査にて吻合部潰瘍を指摘された.高ガストリン血症・高PTH血症・高カルシウム血症・高プロラクチン血症を認め,血漿インスリン値は空腹時は正常だったが,糖負荷後は高値を示した.下垂体・副甲状腺・膵に腫瘤を認め,多発性内分泌腺腫症1型と診断した.腹部computed tomographyおよび超音波検査では腫瘤は孤立性で膵頭部に局在し,膵頭十二指腸切除術を施行した.術中所見では膵頭部に孤立性の腫瘤を認めるのみであったが,組織学的検索で膵頭部の腫瘤の他に十二指腸壁内の腫瘤が明らかとなった.十二指腸壁内の腫瘤はきわめて微小で多発性で,術中には同定不可能であった.免疫組織化学校査および腫瘍細胞のmRNAの解析では膵頭部の腫瘤でインスリンが産生され,十二指腸壁内の微小腫瘤でガストリンが産生されていることが明らかとなった.

索引用語
multiple endocrine neoplasia type I, microgastrinoma, selective arterial secretin injection test

日消外会誌 28: 850-854, 1995

別刷請求先
土井 孝志 〒980 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第1外科

受理年月日
1995年1月11日

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