症例報告
膵癌に合併した孤立性肝結核腫の1切除例
西 敏夫, 川崎 勝弘, 岩本 伸一, 川端 雄一, 中野 芳明, 相沢 青志, 森 武貞
市立貝塚病院外科
孤立性肝結核腫は比較的まれな疾患であり,肉芽腫を主体とするものは,自験例を加えても本邦報告例は25例にすぎない.著者らが最近経験した1切除例を本邦報告例の検討とあわせて報告する.症例は77歳の男性で,S状結腸癌術後の経過観察中にCA19-9値の上昇が見られた.腹部CT,エコー,ERCPおよび血管造影所見より,膵体部癌とS6肝転移が疑われた.膵体尾部切除およびS6肝部分切除を施行したが,肝腫瘤部は,病理組織学的には乾酪壊死巣と間質へのリンパ球浸潤および類上皮細胞が認められ,肝結核腫と診断された.孤立性肝結核腫はまれであるものの,肝腫瘍の鑑別診断に際し留意すべき疾患であると考えられる.
索引用語
solitary tuberculoma of the liver, tuberculosis of the liver, pancreatic cancer
別刷請求先
西 敏夫 〒597 貝塚市堀3-10-20 市立貝塚病院外科
受理年月日
1994年12月7日
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