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第28巻 第4号 1995年4月 [目次] [全文 ( PDF 498KB)]
症例報告

術後3年でリンパ節再発により死亡した同時性胆管胆嚢重複早期癌の1例

味木 徹夫, 小野山 裕彦, 山田 勇, 佐古 辰夫, 山崎 巌, 山本 正博, 斎藤 洋一, 藤盛 孝博

神戸大学第1外科, 同 第2病理

 まれな胆管および胆嚢の同時性早期重複癌で,治癒切除34か月後にリンパ節転移再発のために死亡した興味ある1症例を経験した.症例は70歳の男性.胆管に乳頭状の腫瘤を認め,胆管癌として膵頭十二指腸切除を施行した.全割による組織学的検索では,胆管腫瘍は乳頭状腺癌で,線維筋層内までの浸潤を示した.さらに胆嚢にも体底部に広範に広がる粘膜内に限局した高分化型腺癌を認めた.両者に連続性はなく,いずれも脈管内侵襲はみられず,リンパ節転移も認められなかった.胆管癌はCEAおよびCA19-9の免疫組織学的染色で陰性だったのに対し,胆嚢癌は陽性像を示し,両者の特性の違いが示された.胆道早期癌は脈管侵襲も少なく長期予後が期待できるとされる,本例は全割にて脈管侵襲のない早期重複癌と確診できたにもかかわらず,早期再発死亡した.

索引用語
double cancer, biliary tract carcinoma, lymphnode metastasis of early carcinoma

日消外会誌 28: 869-873, 1995

別刷請求先
味木 徹夫 〒650 神戸市中央区楠町7-5-1 神戸大学医学部第1外科

受理年月日
1994年12月7日

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