虫垂原発悪性リンパ腫の1例

前田　敦行, 山口　晃弘, 磯谷　正敏, 堀　明洋, 金　祐鎬, 高野　学, 河合　正己, 山口　竜三, 山田　達治, 窪田　智行

大垣市民病院外科

　虫垂原発悪性リンパ腫の1例を経験したので，本邦報告例の集計とあわせて報告する．症例は64歳の男性で，右下腹部痛と腫瘤を主訴に来院した．虫垂炎膿瘍形成の術前診断で緊急手術を施行したところ，回盲部に超手拳大の腫瘤および硬い白色調の虫垂を認めたため結腸右半切除術およびD3郭清を施行した，術後の組織学的検索からnon-Hodgikin malignantlymphoma，diffuse largecell typeと診断した．術後補助化学療法を施行したが，リンパ節再発をきたし術後1年11か月で死亡した．
　虫垂原発悪性リンパ腫はまれな疾患であり，本邦報告例は検索しえた限り自験例を含め20例であった．術前診断の多くは急性虫垂炎であり，術後の組織学的診断で確診を得ていた．治療は癌腫と同様にリンパ節郭清を伴った病巣の広範な切除であり，化学療法のなされた症例もあるが，予後はおよそ不良であった．

索引用語
primary malignant lymphoma of the appendix, surgical resection

別刷請求先
前田　敦行　〒503　大垣市南頬町4-86　大垣市民病院外科

受理年月日
1995年1月11日

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