持続温熱療法により5年生存の得られた大腸癌腹膜播種の1例

松本　尚, 西村　元一, 洲崎　雄計, 田島　秀浩, 藤村　隆, 杉山　和夫, 清水　康一, 米村　豊, 三輪　晃一, 宮崎　逸夫, 山口　明夫^＊

金沢大学第2外科, 福井医科大学第1外科^＊

　大腸癌腹膜播種に対して3度にわたるcontinuous hyperthermic peritoneal perfusion（CHPP）を施行し，5年生存が得られた症例を経験したので報告する．患者は74歳の女性で1989年4月，小結節散布型の腹膜播種を伴う上行結腸癌に対して結腸右半切除とCHPPを施行，second look operationにて腹膜播種巣の消失を確認し，2回目のCHPPが施行された．1992年6月，イレウス症状のため再開腹したところ，小腸の狭窄と腹壁，腸間膜に小結節の腹膜播種再発が認められた．狭窄部と可及的な播種巣の切除後，CHPPを再度施行した．病理所見では小腸内腔に2型の腫瘤が認められたが，組織学的には腹膜播種巣が内腔へ向かって進展したものと考えられた．本症例より腹膜播種を伴う大腸癌の外科治療の1つとしてCHPPの有効性が示唆された．

索引用語
peritoneal dissemination of colon cancer, continuous hyperthermic peritoneal perfusion

別刷請求先
松本　尚　〒920　金沢市石引3-1-1　国立金沢病院外科

受理年月日
1994年12月7日

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