特集
胆嚢癌に対する拡大リンパ節郭清の功罪
吉川 達也, 羽生 富士夫, 中村 光司, 新井田 達雄, 吾妻 司, 木暮 道夫, 鈴木 修司, 本橋 洋一
東京女子医科大学消化器外科
胆嚢癌に対する拡大リンパ節郭清の功罪を明らかにする目的で,切除例中相対非治癒切除以上の治癒度が得られた157例について,壁深達度別に,リンパ節郭清度により手術成績を検討した.m癌35例にはリンパ節転移は認めず,リンパ節の郭清度にかかわらずすべて生存中である.pm癌7例では1例に1群リンパ節転移を認めた.ss以上の進行胆嚢癌115例の2か月以内の入院死亡を含めた手術死亡率はR0.群,R1+2群4.4%(2例)R3群14%(7例)と郭清度が増すにつれて高くなった.郭清度別の遠隔成績をbinfとnの2因子の組合わせで比較してみると,5年生存率はbinf(-)n(+)例においてのみ,R1+2群(n=9)26%,R3群(n=13)70%とR3郭清が成績良好な傾向がみられた.以上の結果より相対非治癒以上進行癌でn(+)binf(-)例において,拡大リンパ節郭清がその有効性を発揮するものと考える.一方,R3郭清はR2以下の郭清に比べ手術死亡率が高くなることが問題としてあげられる.
索引用語
lymph node metastasis of gallbladder cancer, extended lymphadenectomy for gallbladder cancer, operative mortality of gallbladder cancer
別刷請求先
吉川 達也 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科
受理年月日
1994年12月7日
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