特集
下部直腸癌における拡大リンパ節郭清の功罪
加藤 知行, 平井 孝, 小寺 泰弘, 鳥井 彰人, 上坂 克彦, 安井 健三, 森本 剛史, 山村 義孝, 紀藤 毅
愛知県がんセンター消化器外科部
下部直腸癌に対する鈍的郭清,腹腔内鋭的郭清,腹腔内十腹膜外鋭的郭清の3つの側方リンパ節郭清術式の予後を比較検討した.側方郭清なしの症例の5年生存率は61.5%,局所再発率は20.6%であるのに対し,腹腔内十腹膜外郭清の5年生存率は79.7%,局所再発率5.4%と3術式の内で予後は最も良かった.一方鈍的郭清のような不十分な郭清は局所再発が減少しないばかりでなく,かえって血行性再発を増加させる危険性があるものと考えられた.拡大郭清による術後の排尿・性機能障害は郭清程度が大きく,確実になるほど出現頻度と程度は大きくなり,排尿障害は郭清なしの11%に対し,腹腔内+腹膜外郭清では80%と高頻度に出現している.排尿・性機能温存を目的とした自律神経温存手術例の5年無病率は81.8%で局所再発はなかった.術後の排尿障害は12.5%,勃起障害は26.7%,射精障害は66.7%であり,われわれの術式では射精障害の頻度が高い.
索引用語
extended pelvic lymphadenectomy for advanced cancer of the lower rectum, nerve preserving operation for cancer of the rectum, autonomic nerve dysfunction afte operation for cancer of the rectum
別刷請求先
加藤 知行 〒464 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター消化器外科部
受理年月日
1994年12月7日
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