特集
下部直腸癌に対する拡大郭清の意義と限界
森谷 宜皓, 杉原 健一, 赤須 孝之, 藤田 伸
国立がんセンター中央病院外科
下部直腸癌に側方郭清が施行された403例を対象に,“Extended”群と“Nerve-sparing”群の2群に分け遠隔成績,機能的予後,再発様式を検討した.E群の排尿障害は高率で,10年以上経過後も半数以上は強い不満を持っている.一方,神経温存では8割以上は満足すべき排尿である.Dukes A,Bの成績は良好であった.Dukes Cの5生率はE群で46%,N群で59%であった.転移個数を3個までと4個以上に分けると両群共に4個以上の成績は有意に低下した.側方転移はDukes Cの34%に認められ5生率はE群で45%であったが,N群は26%と不良であった.局所再発はE群14%うちDukes Cは26%,N群8%,うちDukes Cは13%と許容できる成績であった.下部進行直腸癌には側方郭清を含めた自律神経部分温存術を施行すべきである.
索引用語
lower rectal cancer, lateral node metastasis, Nerve-sparing operation for rectal cancer
別刷請求先
森谷 宜皓 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンター中央病院外科
受理年月日
1994年12月7日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|