特集
進行胃癌に対する大動脈周囲リンパ節郭清の功罪
大田 惠一朗, 西 満正, 大山 繁和, 石原 省, 中島 聰總
癌研究会附属病院外科
1960年から1989年までに癌研究会附属病院外科において切除された胃癌症例7,851例のうち,912例(15.6%)に大動脈周囲リンパ節(No 16)の組織学的検索(郭清)が施行された.No.16転移陽性でも根治度Bまで可能であれば,5年生存率は9%で,実際に18例の5年以上長期生存例があり,郭清の効果が認められた.No.
16転移陽性例の遠隔成績の臨床病理学的検討から,上中部や全領域癌,準表在・中間型の癌,mp,ssの癌,No.16の転移個数が4~6個までだとNo. 16郭清の効果が高かった.また,占居部位ごとのリンパ節転移程度別のNo.16郭清の有無による予後の比較から,mp,ssでは,上下部のn1以上,中部のn2以上が,se,siではn(+)例でNo.16郭清の意義がある.しかし,不必要なNo.16の系統的郭清は手術侵襲が大きくなり合併症も増加するので,リンパ系を重視した重点的郭清を考慮するのがよい.
索引用語
advanced gastric cancer, paraaortic lymph node dissection of gastric cancer, extended radical surgery of gastric cancer
別刷請求先
大田惠一朗 〒170 豊島区上池袋1-37-1 癌研究会附属病院外科
受理年月日
1994年12月7日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|