特集
胸部食道扁平上皮癌症例における3領域郭清の功罪
鶴丸 昌彦, 宇田川 晴司, 梶山 美明, 堤 謙二, 木ノ下 義宏, 早川 健, 沢田 寿仁, 松田 正道, 渡邊 五朗, 秋山 洋
虎の門病院消化器外科
胸部食道癌に対する標準術式として3領域郭清を採用してからの3領域郭清例348例とそれ以前の2領域郭清例,284例を比較して3領域郭清の功罪について検討した.3領域郭清ではリンパ節郭清の範囲と精度が増しており,1症例当たり郭清されたリンパ節は36.9個から110.5個へと増加した.頸部が追加された以外に上縦隔中縦隔においても精度があがっていた.これにともない,リンパ節転移率も増え,n4が増えていることから2領域郭清では遠隔リンパ節への転移が取り残されていた可能性がある.合併症では肺合併症が18.1%から26.4%へと増加し,手術死亡も1.8%から2.9%へと増加した.しかし,直死,在院死を含めた遠隔成績を比較すると有意に3領域郭清例が良好であり,死亡率,合併症など罪の面を考慮しても良好な遠隔成績という功の面の意義が大きい.
索引用語
esophageal carcinoma, three-field dissection, prognosis
別刷請求先
鶴丸 昌彦 〒105 港区虎ノ門2-2-2 虎の門病院消化器外科
受理年月日
1994年12月7日
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