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第28巻 第5号 1995年5月 [目次] [全文 ( PDF 582KB)]
原著

高齢者胃癌の問題点―とくに80歳未満と80歳以上の治療方針の差異について―

湊 博史, 沢井 清司, 大原 都桂, 矢田 裕一, 藤岡 嗣朗, 榊原 次夫, 下間 正隆, 谷口 弘毅, 萩原 明於, 山口 俊晴, 高橋 俊雄

京都府立医科大学第1外科

 切除を行った65歳以上の胃癌症例を,65~74歳のA群(244例),75~79歳のB群(74例),80歳以上のC群(40例)に分けて治療成績を検討した.手術方針としてA群では進行度に応じて拡大手術も行ったが,C群では,なるべく合併切除を避け,リンパ節郭清はD1郭清を原則とした.その結果,手術時間はA群234分,B群193分,C群129分と,高齢者ほど有意に短く,術中出血量もA群672 g,B群517 g,C群327 gと,C群で有意に少なかった.術死はA群2.5%,B群2.7%,C群5.0%と差を認めなかった.術後合併症は,肺合併症がC群にやや多いほかは,3群間に差を認めなかった.5年累積生存率はA群58.7%,B群47.9%,C群31.1%とC群が有意に低かった.術死・他病死を除いても,生存率は年齢が進むほど低い傾向を認めた.80歳以上の胃癌に対する縮小手術の方針により直接成績では,79歳以下と差のない成績が得られたが,遠隔成績において癌再発が多くなる傾向を認めた.

索引用語
surgical treatment for gastric cancer, aged 80 or older, gastric cancer in aged patients

日消外会誌 28: 987-992, 1995

別刷請求先
湊 博史 〒602 京都市上京区河原町広小路 京都府立医科大学第1外科

受理年月日
1995年1月11日

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