原著
胃中部早期癌に対する合理的リンパ節郭清―No.1,No.5,6リンパ節郭清省略の適応―
鈴木 英登士, 伊藤 卓, 鈴木 純, 三上 泰徳, 杉山 譲, 三上 光博, 高橋 克郎, 十束 英志, 清野 景好, 遠藤 正章, 佐々木 睦男, 今 充
弘前大学医学部第2外科
単発中部胃癌378例(早期199,進行179)ならびにm癌合計230例(M105,C・A125)を対象とし,胃中部早期癌に対するNo.1,No.5,6リンパ節郭清省略の適応について検討した.胃中部m癌のリンパ節転移は2.9%(3/105)で,いずれもU1(+)・未分化のIIc型であった.No.1転移は2例(1.9%)に認められたが,No.5,6転移は皆無であった.sm癌94例では,No.1転移は1例(1.1%)で,No.5,No.6転移は各3例(3.2%)に認められた.他領域m癌125例でも,リンパ節転移の2例はU1(+)の陥凹型であった.すなわち陥凹型m癌146例中,リンパ節転移は分化型1.2%(1/75),未分化型5.6%(4/71),U1との関連からはU1(-)0.0%(0/68),U1(+)6.4%(5/78)の頻度で,tub1,U1(-)・tub2ならびにU1(-)・未分化型では転移は認められなかった.これに加え腫瘍の占居部位などからも検討した結果,No.5.6郭清省略の適応として,5.0 cm以下の隆起型,陥凹型(IIc)では4.5 cm以下のtub1,4.0以下のU1(-)・tub2ならびに1.0 cm未満,U1(-)・未分化型が考慮され,さらに大彎病変ではNo.1郭清省略も可能である.上記適応外のm癌でも大彎病変に限ってはNo.1,5郭清省略は可能で,いずれもM局在が対象である.
索引用語
early gastric cancer, middle portion of stomach, rational lymph node dissection, No. 1,5 and 6 lymph node
別刷請求先
鈴木英登士 〒036 弘前市在府町5 弘前大学医学部第2外科
受理年月日
1995年2月8日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|