原著
肝膿瘍に対する穿刺ドレナージ法と経カテーテル的肝動脈内抗生剤注入療法の適応と成績
小松 永二, 磯部 義憲*, 今泉 俊秀, 中迫 利明, 吉川 達也, 中村 光司, 羽生 富士夫, 上野 恵子**, 山田 明義**
東京女子医科大学消化器外科, 北里大学東病院放射線科*, 東京女子医科大学消化器放射線科**
化膿性肝膿瘍の治療法とその成績につき,膿瘍の形態別,単発多発別に検討した.また最近導入している経カテーテル的肝動脈内抗生剤注入療法の適応と成績につき検討した.
過去10年間に経験した肝膿瘍50例,57回の治療を対象に,単発多発および単房多房に分類し治療成績を検討した.単発単房性膿瘍には経皮経肝的穿刺ドレナージがきわめて有効であった.しかし多発または多房性膿瘍では穿刺ドレナージのみでは治療に難渋し遷延する症例が多く,肝動脈内抗生剤注入療法などの追加療法を要した.肝動脈内抗生剤注入療法を12例16回施行した.大腿動脈よりカテーテルを挿入,肝動脈に留置し抗生剤を注入し,15回には明らかな改善を認めその有用性が確認されたが,1回には無効であった.
肝膿瘍の治療においてはその病態,形態,数に応じて穿刺ドレナージ,動注療法,胆道ドレナージなどを効率的に選択併用することが重要と考えられた.
索引用語
liver abscess, percutaneous transhepatic abscess drainage, hepatic arterial infusion with antibiotics
日消外会誌 28: 1013-1019, 1995
別刷請求先
小松 永二 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器病センター外科
受理年月日
1995年1月11日
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