原著
胃切除後胆石症の実験的研究―胃切除後のイヌ胆嚢胆汁組成の経時的変化―
杉山 譲, 羽田 隆吉, 森谷 洋*, 小堀 宏康*, 清藤 大*, 三上 泰徳*, 鈴木 英登士*, 今 充*
弘前大学医療技術短期大学部, 弘前大学第2外科*
胃切除後胆石症の原因の1つとされる胆嚢胆汁組成の経時的変化について,イヌを用いて検討した.外胆嚢瘻に胃切除を追加した群では,胆石発生に胆汁感染が重要であることを報告した.しかし,胆汁感染が外胆嚢瘻由来か,胃切除由来かは不明であった.そこで外胆嚢瘻を造設せず,単開腹のみの対照群6頭,胃亜全摘兼全幹迷走神経切離を施行しBII再建のBII群6頭,Pylorus-preserving gastrectomy施行のPPG群5頭で初回,6,12か月に開腹下胆汁採取を行い検討した.対照群,PPG群に胆汁感染,胆石は発生せず,胆汁酸分画の変動は軽度で,遊離型胆汁酸もPPG群2頭で検出されたのみであった.BII群では胆汁感染(2頭は6か月,1頭は6,12か月),胆石が各3頭(1頭は細菌陰性)に発生,胆汁酸分画の変動は他の2群より大きかったが,外胆嚢瘻造設群での変動より小さかった.BII群自体が胆汁感染や胆汁組成の変化を引き起こし,胆石発生へ至る可能性が示唆された.
索引用語
gallstone disease after gastrectomy, subtotal gastrectomy (BII) with truncal vagotomy, pylorus-preserving gastrectomy, bile infection, bile acids
日消外会誌 28: 1037-1042, 1995
別刷請求先
杉山 譲 〒036 弘前市本町66-1 弘前大学医療技術短期大学部
受理年月日
1995年2月8日
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