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第28巻 第5号 1995年5月 [目次] [全文 ( PDF 507KB)]
症例報告

箸刺入による外傷性頸部食道損傷の1例

高嶋 吉浩, 三浦 正博, 舛田 誠二

社会保険高浜病院外科

 箸刺入による外傷性頸部食道損傷の1例を経験した.19歳の女性.1993年7月食器運搬中に転倒し箸が右頸部から刺入し,抜去することなく来院.内視鏡にて食道損傷と確診した.箸摘出,食道縫合閉鎖術にて治療した.本邦の外傷性食道損傷35例および箸刺入傷23例を検討した.外傷性食道損傷の死亡例は保存的治療3例中2例(66.7%),手術的治療31例中1例(3.2%)だった.24時間以内に1期的閉鎖術となった11例では縫合不全は1例(9.1%)のみだったが,24時間以降の場合,1期的閉鎖術5例中4例(80%)が縫合不全を来し,ドレナージ術12例中3例(25%)が再手術を要した.よって,本外傷には早期手術的治療を行うべきである.箸刺傷23例中17例が単純抜去されたが,うち10例は遺残先瑞の摘出術を要し,完全抜去された7例中2例は消化管損傷のため手術的治療を要した.完全抜去されないもの,消化管損傷を伴うものでは保存的治療は妥当ではないと推察された.

索引用語
traumatic esophageal injury, penetrating injury to the cervical esophagus, penetrating injury by a chopstick

日消外会誌 28: 1071-1075, 1995

別刷請求先
高嶋 吉浩 〒919-22 福井県大飯郡高浜町宮崎87-14-2 社会保険高浜病院外科

受理年月日
1995年1月11日

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