症例報告
巨大な同時性副腎転移を合併切除した胃癌の1切除例
青木 文夫, 北村 正次, 荒井 邦佳, 宮下 薫, 岩崎 善毅
東京都立駒込病院外科
同時性副腎転移を伴う胃癌,および検行結腸癌を外科的に切除し,術後2年9か月を経た現在も再発なく経過中の1症例を経験した.症例は67歳の男性.検診で便潜血反応陽性を指摘され,精査を受け胃癌および横行結腸癌と判明した.腹部CT検査にて巨大な左副腎転移を指摘されたが,その他の臓器に転移を示唆する所見はなく,肉眼的に根治切除可能と考えて,下部食道・胃全摘術,膵脾合併切除術,左副腎合併切除術,横行結陽切除術を施行した.摘出した副腎の組織像は胃癌の組織像と一致し,原発巣との間には正常の副腎組織が介在していたため,胃癌の直接浸潤ではなく,血行性転移と診断した.胃癌の副腎転移が切除の対象となることは極めてまれであり,報告した.
索引用語
metastatic adrenal tumor, adrenal metastasis of gastric cancer
日消外会誌 28: 1081-1085, 1995
別刷請求先
青木 文夫 〒113 文京区本駒込3-18-22 東京都立駒込病院外科
受理年月日
1995年2月8日
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