症例報告
AFP産生胃癌を伴った多発早期胃癌の1例
菅沼 正司, 船曵 孝彦, 二渡 久智, 落合 正宏, 丸上 善久, 松原 俊樹, 今津 浩喜, 新井 一史, 森 紀久朗, 森下 浩, 笹山 可則
藤田保健衛生大学船曵外科
症例は61歳の男性.胃角部,幽門部にそれぞれ早期胃癌を認め,胃亜全摘を施行し両病変ともsmであった.術前術中肝転移を認めず血清AFP値は正常であったが,経過観察中巨大肝転移を認め血清AFP値の著明な上昇を認めた.胃切除標本にAFP染色を行ったところ幽門洞の病変に陽性細胞を認め,AFP産生胃癌を伴った多発早期胃癌の肝転移と診断した.
本邦におけるAFP産生早期胃癌18例を集計し検討したところ,約半数に肝転移を認め,術後肝転移を認めた症例はすべて1年以内に再発していた.組織型では髄様増殖を示す低分化腺癌を多く認めた.
索引用語
AFP-producing early gastric cancer, liver metastasis
日消外会誌 28: 1086-1089, 1995
別刷請求先
菅沼 正司 〒470-11 豊明市沓掛町田楽ケ窪1-98 藤田保健衛生大学船曵外科
受理年月日
1995年2月8日
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