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第28巻 第5号 1995年5月 [目次] [全文 ( PDF 464KB)]
症例報告

魚骨穿通による肉芽性肝膿瘍の1例

松崎 弘志, 菊池 俊之, 一瀬 雅典, 牧野 治文, 磯野 可一

千葉大学第2外科, 菊池医院

 極めてまれな魚骨穿通による肝膿瘍の1例を経験したので文献的考察を加えて報告した.患者は56歳の男性.右上腹部痛を主訴に来院.US,CT,MRIにて肝後下区域(S6)に腫瘤を認めたため,肝細胞癌と診断した.開腹の結果,魚骨が十二指腸より肝臓に穿通したための肉芽性肝膿瘍であった.魚骨除去,十二指腸縫合閉鎖術を施行し,良好な経過を得た.
 魚骨による消化管穿孔・穿通の本邦報告例は384例であり,そのうち肝臓への穿通例は自験例を含めて7例と極めてまれであった.一般的に本症の診断は困難であるが,肝臓穿通例においては,腹部CT,超音波検査における針状石灰化像に着目すれば正診が可能であると思われた.

索引用語
perforation or penetration of fish bone, granulomatous abscess of the liver, duodenum

日消外会誌 28: 1095-1099, 1995

別刷請求先
松崎 弘志 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科

受理年月日
1995年1月11日

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