症例報告
術中胆汁細胞診により診断された胆嚢癌の2症例
石田 英文, 長田 裕, 小川 博*, 山本 正博**, 斉藤 洋一**
聖隷三方原病院外科, 同 病理*, 神戸大学第1外科**
術前に胆嚢結石症,慢性胆嚢炎と診断されたが,術中胆汁細胞診にて胆嚢癌と診断しえた2症例を経験したので報告する.症例1は66歳の男性,US,CTで胆嚢内に結石が充満し,軽度壁肥厚がみられた.症例2は73歳の女性,USで胆嚢壁の軽度肥厚と数個の結石,CTで胆嚢壁の浮腫状肥厚がみられた.以上の2症例を開腹し,胆嚢切除前に施行した胆汁細胞診にてClass Vと診断され,1期的に切除しえた.胆嚢癌においては,胆石や胆嚢炎を合併している症例では術前診断が難しく,術中あるいは術後の病理診断から癌と判明することが多いのが現状である.このような症例に対して,開腹し胆嚢摘出前に行う術中胆汁細胞診は,はじめから癌としての術式が選択されうる点できわめて有用であると考えられた.
索引用語
gallbladder cancer, intra-operative biliary, aspiration cytology
日消外会誌 28: 1109-1113, 1995
別刷請求先
石田 英文 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1995年2月8日
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