症例報告
肺転移再発をきたした虫垂原発粘液嚢胞腺癌の1例
桐山 正人, 佐原 博之, 黒阪 慶幸, 松下 昌弘, 秋山 高儀, 冨田 冨士夫, 斉藤 人志, 小坂 健夫, 喜多 一郎, 高島 茂樹
金沢医科大学一般消化器外科
虫垂原発の粘液嚢胞腺癌はときに破れて腹膜偽粘液嚢種を形成するが,血行性やリンパ行性転移は極めてまれである.著者らは根治切除後4年目に肺転移をきたし,転移巣切除により長期生存を得た虫垂原発粘液嚢胞腺癌の1例を経験したので報告する.患者は60歳の女性で,右下腹部腫瘤に気づき来院した.精査の結果虫垂癌を疑い手術を施行した.術中所見では回盲部を中心に隣接臓器を巻き込む大きな腫瘤が認められ,結腸右半切除術に加え,S状結腸および十二指腸の合併切除術を施行した.病理組織学的には,腫瘍は虫垂原発の粘液嚢胞腺癌で,P0,H0,a2Se,n0,ly0,v0でstage IIであった.術後4年目に左肺下葉に転移をきたし,肺部分切除術を施行した.腫瘍は3×2×2 cmの孤立性腫瘍で,組織学的には粘液嚢胞腺癌の像を示し,虫垂からの転移と診断された.患者は初回手術から9年,再手術から5年経過した現在,再発徴候なく健在である.
索引用語
mucinous cystadenocarcinoma of vermiform appendix, pulmonary metastasis of mucinous cystadenocarcinoma
日消外会誌 28: 1114-1118, 1995
別刷請求先
桐山 正人 〒920-02 石川県河北郡内灘町大学1-1 金沢医科大学一般消化器外科
受理年月日
1995年2月8日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|