症例報告
示唆に富む内視鏡像を呈した壊死型虚血性大腸炎の3例
村上 雅彦, 清水 喜徳, 普光江 嘉広, 鈴木 和雄, 草野 満夫, 相田 貞継*, 新井 浩士*, 李 雨元*
昭和大学医学部外科, 城山病院外科*
壊死型虚血性大腸炎の3例を経験し,特徴的な内視鏡像が観察されたので報告する.症例1;84歳の男性.症例2;77歳の女性.症例3;59歳の男性.いずれも下血にて発症したが,腹部所見に乏しかった.いずれも発症12時間以内に大腸内視鏡検査が行われ,広範な全周性,多発性の粘膜下血腫像が観察された.症例1は,5日後MOFにて死亡.症例2,3は,5~7日の安定期の後,腹膜刺激症状が出現し緊急開腹術施行したが,症例2はMOFにて死亡した.摘出標本では,上記内視鏡所見が観察された部位に一致して広範な粘膜剥離が認められた.
以上より,全周性,多発性粘膜下血腫像は,粘膜剥離の前所見としての可能性が高く,その範囲によっては手術療法を決定する一要素になると思われた.
索引用語
gangrenous type ischemic colitis, endoscopic features in ischemic colitis, multiple sub mucosal hematoma
日消外会誌 28: 1129-1133, 1995
別刷請求先
村上 雅彦 〒142 品川区旗の台1-5-8 昭和大学医学部外科
受理年月日
1995年1月11日
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