症例報告
リンパ節転移によりS状結腸狭窄をきたした肺小細胞癌の1例
谷 卓, 松下 昌弘, 秋山 高儀, 桐山 正人, 冨田 冨士夫, 斉藤 人志, 喜多 一郎, 高島 茂樹
金沢医科大学一般・消化器外科
リンパ節転移によりS状結腸狭窄をきたした肺小細胞癌の1例を報告した.患者は42歳の男性.肺小細胞癌にて放射線化学療法をうけていたが,下腹部痛および便柱狭小化を認めたため当科に紹介された.左下腹部に弾性硬で可動性のない腫瘤を触知し,腫瘍マーカーはCEA,CA19-9が高値であり,便潜血反応は陽性であった.注腸造影X線検査ではS状結腸にびまん型全周性狭窄像を,大腸内視鏡検査では陥凹を伴う隆起性病変と壁外性圧迫像を認めた.開腹所見では一塊となった大動脈周囲リンパ節がS状結腸間膜に連続性に浸潤し,しかも腫大した壁在リンパ節がS状結腸に浸潤し狭窄をきたしていた.S状結腸切除術を行い,病理組織学所見から肺小細胞癌のリンパ節転移と判定された.患者は術後第16週目に化学療法後の敗血症で死亡した.肺小細胞癌は悪性度が高く遠隔臓器への転移が多いとされるが,大腸への転移は極めてまれであり,本邦報告例を集計し考察を加えた.
索引用語
small cell carcinoma of the lung, epicolic lymph node metastasis of sigmoid colon
日消外会誌 28: 1134-1138, 1995
別刷請求先
谷 卓 〒920-02 石川県河北郡内灘町大学1-1 金沢医科大学一般・消化器外科
受理年月日
1995年1月11日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|