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第28巻 第7号 1995年7月 [目次] [全文 ( PDF 596KB)]
原著

胃癌における血清シアリルTn抗原測定の意義―CEA,CA19-9,TPAとの比較検討―

永田 松夫, 落合 武徳, 鈴木 孝雄, 軍司 祥雄, 中島 一彰, 小出 義雄, 磯野 可一

千葉大学第2外科

 教室で経験した胃癌97例を対象として,血清シアリルTn抗原(STN)測定の臨床的意義を検討した.カットオフ値を45 U/mlとしたときの,全体の陽性率は37.1%であり,組織学的進行度が進むにつれて陽性率も高くなり,stage IVbでは72.7%であった.stage IVbのうち,特に腹膜転移陽性例では陰性例に比べ陽性率・平均血清値ともに有意に高かった.それに対し,血清CEA,CA19-9,TPAでは全くその傾向は見られなかった.肝転移の有無でSTNに差は見られなかった.また切除例においてリンパ節転移の有無でSTNの陽性率を比較するとリンパ節陽性例で有意に高かった.stage IVbでは,STNが高値のものほど予後が悪い傾向が見られた.以上より,血清STN値は腹膜転移陽性例で特異的に高値をとり,術前の腹膜転移診断に有用であり,また,予後因子となりうることが示された.

索引用語
sialyl Tn antigen, gastric cancer, peritoneal dissemination, prognostic factor

日消外会誌 28: 1660-1666, 1995

別刷請求先
永田 松夫 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学第2外科

受理年月日
1995年3月8日

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