原著
肝切除後のquality of lifeに関する検討
塗木 健介, 田辺 元, 吉留 伸郎, 小倉 芳人, 上野 信一, 栗田 光一, 愛甲 孝
鹿児島大学第1外科
肝切除施行後3か月以上経過生存中の非担癌状態の71例を対象に,quality of life(QOL)に関する独自のアンケート調査を行い,肝切除術後QOLと,臨床事項,肝機能変化状況との関連を検討した.主成分分析の結果,肝切除後QOLに強く関与するアンケート項目は,食欲,仕事・家事,睡眠,体調であった.肝切除後QOLは身体面,精神面では比較的良好であったが,社会的機能や身体感覚面では低下していた.また,肝切除後QOLに強く関与する臨床事項は,宿主側因子では肝切除時年齢,疾患の良悪性,術前ICGR15,肝切除後経過年数であり,治療側因子では術後合併症の有無と肝切除後遠隔時の蛋白合成能維持であった(p<0.05).しかし,2区域以下の肝切除量,残肝復元率との関連は認めなかった.
以上より,肝切除後の良好なQOLの獲得には,術後合併症の防止と遠隔時の肝蛋白合成能維持が重要であることが示唆された.
索引用語
quality of life, quality of life after hepatectomy, complication after hepatectomy
日消外会誌 28: 1673-1680, 1995
別刷請求先
塗木 健介 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1995年3月8日
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