原著
単糖修飾superoxide dismutaseのラット肝移植再灌流障害におよぼす効果について―肝組織Na+,K+-ATPase活性による評価―
溝江 昭彦, 近藤 敏, 渡部 幸明, 東 尚, 藤岡 ひかる, 田中 公朗, 元島 幸一, 井沢 邦英*, 兼松 隆之
長崎大学医学部第2外科, 同 救急部*
Superoxide dismutase(SOD)誘導体のmannosylated SODは肝非実質細胞に,galactosylated SODは肝実質細胞に取り込まれ,肝由来の活性酸素の効果的な消去を期待しうる.そこで,ラット肝移植実験でこれらの単糖類で修飾したSODを使用し再灌流障害に対する効果を検討した.
通常のSODと修飾型SODを肝移植再灌流直前に投与し再灌流30分後に犠牲死させ,血液および肝組織を採取して血液一般肝機能,肝組織Na+,K+-ATPase活性,組織過酸化脂質(LPO),組織SOD活性を測定した.
移植再灌流によって血中逸脱酵素の上昇と肝組織Na+,K+-ATPase活性の有意の低下,LPOの増加とSOD活性の低下を認めた.これらの障害は通常のSODでは抑制されず,単糖類で修飾したSOD,ことにgalactosylated SODによりNa+,K+-ATPase活性低下は抑制され,組織LPO,SOD活性の改善が認められ,再灌流時に発生する組織障害の防止に有効と考えられた.
索引用語
orthotopic liver transplantation, reperfusion injury, Na+, K+-ATPase activity, SOD derivatives modified with monosaccharides
日消外会誌 28: 1681-1686, 1995
別刷請求先
溝江 昭彦 〒852 長崎市坂本1-7-1 長崎大学医学部第2外科
受理年月日
1995年3月8日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|