原著
肝側切除断端陽性中下部胆管癌の予後と術式に関する検討
田中 信孝, 登 政和, 古屋 隆俊, 上野 貴史, 菅野 隆行, 水田 耕一, 阪本 良弘, 村川 知弘
旭中央病院外科
1978年から1993年までの15年間に切除した乳頭部癌を除く中下部胆管癌28症例を対象とし,肝側切除縁における癌浸潤陽性(hw(+))の予後に及ぼす影響につき検討を加えた.hw(+)症例は10例36%に認めた.病理学的背景因子にhw(+)とhw(-)とでd因子以外差は認められなかった.入院死の2例を除く5年生存率は,hw(+)30%,hw(-)43.8%と両者で差が認められなかった.hw(+)症例の術中迅速診によるhwの判定は6例で(+),4例で(-)であった.術後判明の3例は5年以上生存した.再発形態は,hw(+)の有無にかかわらず5年以上生存例では吻合部再発であるのに対し,5年未満死症例では,遠隔転移,癌性腹膜炎であった.以上よりhw(+)は単独で予後規定因子とならず,また5年予後の期待できない進行癌においては,重要な再発因子とならないため,治癒切除の根治性と病変の進展に配慮した,hwのみにとらわれないような切除術がのぞましいと考えられた.
索引用語
middle and lower bile duct cancer, longterm survivor of bile duct cancer, resection margin of hepatic duct
日消外会誌 28: 1698-1702, 1995
別刷請求先
田中 信孝 〒289-25 旭市イ-1326 旭中央病院外科
受理年月日
1995年3月8日
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