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第28巻 第7号 1995年7月 [目次] [全文 ( PDF 510KB)]
症例報告

類基底細胞癌と扁平上皮癌からなる早期多発食道癌の1例

宮薗 太志, 夏越 祥次, 熊之細 透, 内倉 敬一郎, 中島 三郎, 愛甲 孝

鹿児島大学医学部第1外科

 3年半の逆追跡が可能であった類基底細胞癌と扁平上皮癌からなる早期多発癌の1例を経験したので報告する.症例は54歳の男性で検診の内視鏡検査で食道癌と診断されたが放置していた.3年半後,再び検診を受け食道癌を指摘された.前回と入院時の内視鏡検査を比較すると,上切歯列より26 cmに推定深達度mの0-IIc型腫瘍が,30 cmに推定深達度smの0-Ip1型腫瘍が認められ,軽度腫瘍が増大しているのみであった.右開胸・開腹によって食道亜全摘とリンパ節郭清を施行した.病理組織学的には口側の腫瘍は深達度m3の高分化型扁平上皮癌,肛門側の腫瘍は深達度sm3の類基底細胞癌で,リンパ管侵襲は陽性であったがリンパ節転移は陰性であった.またその中間に組織学的検索で新たに深達度m2の高分化型扁平上皮癌が発見された.長期間経過観察可能であった類基底細胞癌と扁平上皮癌の早期多発癌の報告はまれであり,発生や悪性度を考える上で示唆に富む症例と考えられた.

索引用語
basaloid (-squamous) carcinoma, multiple esophageal cancer

日消外会誌 28: 1716-1720, 1995

別刷請求先
宮薗 太志 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学医学部第1外科

受理年月日
1995年3月8日

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