胃全摘後の胃癌局所再発に対して再切除を施行した2症例

末永　昌宏, 杉浦　勇人, 国場　良和, 久留宮　隆, 山中　秀高, 初野　剛

名古屋記念病院外科

　胃癌胃全摘後の局所再発に対する再切除2例を報告する．症例1：41歳の女性．胃癌胃全摘5年後空腸脚に狭窄が生じCTスキャンで膵体尾部付近に腫瘤を認めた．明瞭な腹膜播種の所見なく，血管造影でも主要な血管に癌浸潤所見なく再切除可能と判断し開胸開腹下に空腸拳上脚，肝左葉外側区域部分，膵体尾部，横行結腸切除で切除しえた．症例2：53歳の女性．胃癌にて脾合併胃全摘術7年後注腸透視にて脾彎曲肛側の結腸に狭窄を認めた．生検で腺癌，CTスキャン，血管造影で膵体尾部に腫瘤像を認めたが，主要血管に癌浸潤を認めなかった．膵体尾部，空腸ρ脚部，結腸切除，副腎摘除にて腫瘤を切除しえた．
　胃癌胃全摘後の局所再発で腹膜播種の有無の判断が難しいが，触診所見や画像診断を駆使して局在性や進展度診断を行い，胃全摘後の局所再発でも再切除可能であつた2症例を報告した．Quality of lifeからも予後からもより良い結果をえた．

索引用語
gastric cancer, total gastrectomy, resection of local recurrence

別刷請求先
末永　昌宏　〒468　名古屋市天白区平針4-305　名古屋記念病院外科

受理年月日
1995年3月8日

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