症例報告
電撃的な経過をたどった残胃癌術後のAeromonas sobria敗血症の1例
長田 裕典, 徳岡 裕文, 水嶋 秀, 松岡 尚則, 武田 功, 笹岡 和雄, 西岡 豊
高知県立中央病院外科
Aeromonas sobriaによる電撃的経過をたどった敗血症の1例を報告した.患者は82歳の女性.残胃癌にて根治術施行.術後第1日目後半より,低血圧,頻脈となり輸液負荷,塩酸ドパミン投与により経過をみたが,術後2日目に敗血症ショックによる末梢循環不全およびDICをきたした.強度の代謝性アシドーシス,血小板減少をきたし,胸部,腹部の皮下出血斑,皮下気腫を呈した.ICUに入室し呼吸循環管理を行ったが,ショック状態から離脱できず同日死亡した.動脈血培養にてAeromonas sobriaが検出された.Aeromonas sobriaの術後感染症としての報告はわれわれが調べえた範囲では本症例が第1例目であるが,急激な経過をたどることや,ペニシリン系抗生物質に感受性が乏しいなど診断治療において特に注意すべきと考えられる.
索引用語
Aeromonas sobria, septic shock, postoperative infection
日消外会誌 28: 1726-1729, 1995
別刷請求先
長田 裕典 〒780 高知市桜井町2-7-33 高知県立中央病院外科
受理年月日
1995年3月8日
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