症例報告
残肝再発と腹膜播種性転移を切除し5年6か月生存中の胆管細胞癌の1例
須貝 英光, 長堀 薫, 板倉 淳, 飯室 勇二, 飯野 弥, 山本 正之, 松本 由朗
山梨医科大学第1外科
再発を繰り返し3回の切除によって5年以上生存している胆管細胞癌症例を経験したので報告する.62歳の男性,検診で発見された肝外側区域の5.5 cmの腫瘍に対し肝左葉切除を施行,3年9か月後肝切離端の再発腫瘍を摘出した.さらにその5か月後直腸に浸潤した3個の腹膜播種結節をHartmannの手術により摘出した.1年4か月経過した現在,再発の徴候なく生存中である.3回の摘出標本はいずれも病理組織学的に中分化型腺癌で胞体内にMallory小体様の構造を認め,CA19-9免疫組織染色陽性であり,新たな発癌ではなく初回病巣の転移再発と診断した.残肝再発に加え腹膜播種結節を切除しえて,長期生存している報告例は見当たらず,特異な経過の胆管細胞癌と考えられた.
索引用語
cholangiocellular carcinoma, resection of intrahepatic recurrence, resection of peritoneal dissemination
日消外会誌 28: 1740-1744, 1995
別刷請求先
長堀 薫 〒409-38 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第1外科
受理年月日
1995年3月8日
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