症例報告
Farrarの診断基準を満たす原発性胆嚢管癌の1例―無石胆嚢炎にて発症した胆嚢管癌の1例―
佐藤 貴弘, 井上 哲也, 木村 寛伸, 高橋 信樹, 藤井 久丈
八尾総合病院消化器科
Farrarの診断基準を満たす原発性胆嚢管癌の1例を経験したので報告する.症例は83歳の女性で,主訴は発熱であつた.腹部超音波検査にて胆嚢の腫大を認め,またendoscopic retrograde choiangiopancreatography(以下,ERCP)にて胆嚢は造影されなかった.Magnetic resonance imaging(以下,MRI)では胆嚢管内の腫瘍性病変も否定しえず,全身麻酔導入直後にpercutaneous transhepatic cholecystgram(以下,PTCC)を施行したところ,胆嚢は緊満しており,造影剤は総胆管へ流出しなかった.胆嚢管腫瘤を疑いつつ胆嚢摘除術を施行した.切除標本の検索では胆嚢管部に17×15 mm大の腫瘤を認めた.癌の可能性も否定できなかったため,所属リンパ節の郭清を追加した.永久標本の病理組織では,漿膜下まで浸潤する乳頭状腺癌で,胆嚢管断端には腫瘍細胞はなく,リンパ節転移も認められなかった.術後経過は良好で術後17か月の現在も再発の兆候はない.
索引用語
primary carcinoma of the cystic duct, Farrar's criteria
日消外会誌 28: 1745-1749, 1995
別刷請求先
佐藤 貴弘 〒939-23 富山県婦負郡八尾町福島7-42 八尾総合病院消化器科
受理年月日
1995年3月8日
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