原著
食道表在癌の深達度診断と内視鏡的根治療法の適応に関する検討
黒岡 正之, 山口 肇*, 板橋 正幸**, 田村 祐樹, 日月 裕司, 加藤 抱一, 渡辺 寛
国立がんセンター中央病院外科, 同 内科*, 同 研究所病理部(現・茨城県立中央病院病理科)**
食道表在癌の内視鏡的深達度診断と内視鏡的根治療法の適応について検討した.対象は術前未治療で切除されたO-IIc型を主体とした食道表在癌53例57病巣である.深達度をep,mm1~3,sm1~3の亜分類に分け病理組織学的に検討すると脈管侵襲,リンパ節転移ともに認めなかったのはepまたはmm1癌であり,これらが内視鏡的根治療法の適応と考えられた.内視鏡像の検討より,epまたはmm1癌の診断は,1)深い陥凹を認めない,2)表面に大顆粒や結節を認めない,3)周囲粘膜の肥厚なし,4)硬化像なし,の所見をすべて満たすこととすることができ,その正診率は92.3%であつた.したがってこの診断基準を用いれば内視鏡像からepまたはmm1癌を診断することはほぼ可能であり治療前の内視鏡的根治療法の適応決定に有用であると考えられた.
索引用語
superficial esophageal carcinoma, endoscopic mucosectomy, subclassification for the depth of tumor invasion
日消外会誌 28: 1761-1765, 1995
別刷請求先
黒岡 正之 〒565 吹田市山田丘2-2 大阪大学医学部放射線基礎医学講座
受理年月日
1995年5月17日
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