症例報告
血管内超音波検査が浸潤範囲の診断に有用であった肝腫瘍の2例
蜂須賀 丈博, 加藤 泰, 宮内 正之, 篠原 正彦, 森 敏宏, 大島 健司, 金光 幸秀, 伊藤 誠二, 柴田 有宏, 日比 八束, 金子 哲也*
市立四日市病院外科, 名古屋大学第2外科*
下大静脈に接する肝腫瘍の2例に対し,下大静脈血管内超音波検査を施行し,浸潤の有無を術前診断した.症例1は,60歳の男性で肝硬変に発症したS8の肝細胞癌であった.画像診断にて下大静脈ヘの浸潤が疑われたため,術前血管内超音波検査を施行した.所見として血管のechogenic bandが保持されており,浸潤なしと診断した.手術にて下大静脈への浸潤を認めず肝右葉切除術を施行した.症例2は,72歳の男性.肝S7の胆管細胞癌にて,下大静脈浸潤が疑われたため,術前血管内超音波検査を施行した.一部壁の呼吸性移動が乏しかったが,echogenic bandが保持されていたため剥離可能と診断した.手術にて,炎症性癒着を認めるものの浸潤を認めず,肝右葉切除術を施行した.
下大静脈血管内超音波検査は,下大静脈に接する肝腫瘍の下大静脈への浸潤の有無を正確に診断でき,術式決定に有用であった.
索引用語
intracaval endovascular sonography, liver tumor, echogenic band
日消外会誌 28: 1834-1837, 1995
別刷請求先
蜂須賀丈博 〒510 四日市市芝田2-2-37 市立四日市病院外科
受理年月日
1995年4月5日
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