卒後教育セミナー
進行肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法
岡崎 正敏
福岡大学医学部放射線医学教室
肝細胞癌(HCC)に対する経カテーテル的肝動脈化学塞栓療法(THCE)は,(1)腫瘍を栄養する動脈を塞栓することによる腫瘍の阻血効果,(2)目的領域に作用する抗癌剤の化学療法効果の2つの意図をもって施行されるものである.本邦ではTHCEはHCCの集学的治療の中心的役割を果たしているにもかかわらず,門脈内に腫瘍塞栓を有する症例[Vp(+)]などの進行したHCCに対するTHCEの適応は明確ではない.著者はVp(+)症例に対しても肝切除術前・術中・術後の管理に準じたTHCE前後の管理下に,進行HCCに対しても積極的にTHCEを施行してきた.その安全性も確認できている.本稿では,進行HCCに対するTHCEの適応,取り組み方を中心に著者のTHCE経験を述べる.
索引用語
hepatocellular carcinoma, transcatheter hepatic arterial chemoembolization, portal vein tumor thrombus
日消外会誌 28: 1878-1882, 1995
別刷請求先
岡崎 正敏 〒814-80福岡市城南区七隈7-45-1 福岡大学医学部放射線医学教室
受理年月日
1995年6月14日
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