原著
大腸癌における術中腹腔洗浄細胞診の検討
那須 二郎, 固武 健二郎, 小山 靖夫, 清水 秀昭, 菱沼 正一, 稲田 高男, 松井 淳一, 尾沢 巌, 安藤 二郎, 尾形 佳郎
栃木県立がんセンター外科
腹腔内の遊離癌細胞を証明することが大腸癌の腹膜再発の予知因子として有用であるかを知るために,大腸進行癌188例を対象として術中腹腔細胞診を行い臨床病理学的に検討した.
腹膜播種例(P(+))の細胞診陽性率は53.3%(8/15例)であった.腹膜播種のない例(P(-))の細胞診陽性率は5.8%(10/173例)であり,深達度別の陽性率はse,siが15.5%(7/45例),ssが2.6%(3/117例)でmpには陽性例はなかった,細胞診陽性例の組織型では分化型腺癌が8例,粘液癌が2例であった.腹膜再発は細胞診陽性例の40%(4/10例)に認め,陰性例の1.8%(3/163例)よりも有意に高率であり(p<0.01),累積5年生存率も細胞診陽性例が有意に不良であった.
以上の結果から腹腔細胞診は腹膜播種再発の予知因子として臨床的に有用なパラメーターであると考えられた.
索引用語
colorectal cancer, cytology, peritoneal dissemination, peritoneal recurrence
日消外会誌 28: 1991-1994, 1995
別刷請求先
那須 二郎 〒320 宇都宮市陽南4-9-13 栃木県立がんセンター外科
受理年月日
1995年6月14日
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