大腸mp癌に対するリンパ節郭清範囲に関する検討

安井　信隆, 渡邊　昌彦, 寺本　龍生, 川野　幸夫, 川本　清, 酒井　信行, 藤井　俊哉, 千葉　洋平, 山本　聖一郎, 北島　政樹

慶應義塾大学医学部外科学教室

　大腸mp癌に対する合理的なリンパ節郭清範囲を明らかにするため，郭清範囲別に術後再発率，生存率を検討した．当科にて，外科的に切除された大腸mp癌218例（結腸85例，直腸133例）を対象とした．リンパ節郭清範囲については術者の記載に従い第3群リンパ節まで郭清したものをD3，それ以外をD2とし，下部直腸以下では262番，272番，282番を郭清したものを側方郭清施行群，それ以外を未施行群とした．治癒切除を行った結腸mp癌79例において郭清範囲D2群とD3群の間で術後再発率，生存率はリンパ節転移の有無にかかわらず有意な差を認めなかった．同様に治癒切除を行った直腸mp癌124例も上方郭清範囲D2群とD3群で術後の遠隔成績に有意な差はなく，下部直腸のmp癌では側方郭清の有無にかかわらず予後に有意差を認めなかった．したがって大腸mp癌の郭清範囲はD2で十分であり特に直腸mp癌では側方郭清は行わなくてもよいと考えられた．

索引用語
colorectal carcinoma invading the muscularis propria, lymph node dissection of colorectal carcinoma, lateral lymph node dissection of rectal cancer

別刷請求先
渡邊　昌彦　〒160　新宿区信濃町35　慶應義塾大学医学部外科

受理年月日
1995年6月14日

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