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第28巻 第10号 1995年10月 [目次] [全文 ( PDF 458KB)]
症例報告

体内操作のみで腹腔鏡下右半結腸切除術を施行しえた大腸クローン病の1例

徳村 弘実, 山本 隆, 佐藤 敬文, 今岡 洋一, 大内 明夫, 山本 協二, 松代 隆

東北労災病院外科

 症例は18歳の男性.大腸クローン病で上行結腸に高度の狭窄を来したため,腹腔鏡下右半結腸切除術を施行した.手術はすべて体内操作で行い,回腸横行結腸吻合は自動吻合器を用い,側側吻合いわゆるfunctional end to end ananstomosisを施行した.摘出標本では,上行結腸に広範に敷石状外観と縦走潰瘍がみられたが,両側断端には病変の遺残はなかった.術後経過は良好で,早期に排ガス,排便や完全な歩行が得られ,開腹例に比べ回復が早いと思われた.術後透視で吻合口は大きく保たれ,9か月続過した現在,再発の徴なく健常である.以上から,早期回復や腹腔内癒着の軽減が期待される腹腔鏡下腸手術は,その手技に熟練すれば,クローン病などの炎症性腸疾患にも,積極的に施行されるべきと考えられた.しかし,腹腔鏡下右半結腸切除術は手技が煩雑で簡単でなく,トロッカーの位置を含め手技の定型化や簡便化が今後の問題と思われた.

索引用語
laparoscopic right hemicoloetomy, intracorporeal anastomosis, Crohn's disease

日消外会誌 28: 2042-2046, 1995

別刷請求先
徳村 弘実 〒981 仙台市青葉区台原4-3-21 東北労災病院外科

受理年月日
1955年5月17日

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