特集
非再発例からみた食道癌切除再建術後の問題
宇田川 晴司, 鶴丸 昌彦, 梶山 美明, 木ノ下 義宏, 堤 謙二, 早川 健, 松田 正道, 橋本 雅司, 澤田 寿仁, 渡辺 五朗, 秋山 洋
虎の門病院消化器外科
食道癌切除再建術後長期経過における問題点を探るため非再発症例の検討を行った.術後他因死症例の検討から食道癌術後の患者には肺炎,全身衰弱に代表される特徴的リスクが明らかとなった.再建術式別には明らかな差はなかった.術後心不全死は術前または術後に放射線治療を受けた患者に有意に高頻度であった.術後5年以上無再発生存例の5年経過後の平均生存期間は8.35年で同一性年齢構成の一般集団の平均余命16.75年より明らかに短かった.術後5年以上経過した無再発生存症例のアンケート調査から胆汁逆流を中心とする術後の生活上の問題が明らかとなったが,胸骨後,後縦隔の2つの再建経路の間に明らかな優劣は見出せなかった.多くの長期生存者は術後の生活状況を受け入れてはいるが現在の術式が問題なしとはできない.食道癌切除再建術においては術後患者の注意深い追跡とともに今後のさらなる術式の工夫が必要である.
索引用語
esophageal reconstruction, postoperative QOL, tumor-nonrelated death
日消外会誌 28: 2052-2056, 1995
別刷請求先
宇田川晴司 〒105 港区虎ノ門2-2-2 虎の門病院消化器外科
受理年月日
1995年6月14日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|