特集
食道癌切除再建術後の病態の検討
井手 博子1), 江口 礼紀, 中村 努, 林 和彦, 中村 英美, 谷川 啓司, 太田 正穂, 菊地 哲也, 吉田 一成, 小林 中, 村田 洋子2), 山田 明義3)
東京女子医科大学消化器外科1), 同 内視鏡科2), 同 放射線科3)
食道再建術後遠隔時の病態と問題点を経過観察例と再手術例を中心に検討した,1991年~1994年に術後外来で内視鏡検査を施行した181例(498件)の有所見率は64%で主な所見は吻合部狭窄34%,逆流性食道炎・食道潰瘍17%,挙上胃管潰瘍13%,異時性の重複癌7%(胃管癌5例,頸部食道癌6例,咽喉頭癌2例)再発3%であった.術後内視鏡による経過観察例からみて,食道癌再建術後の逆流性食道炎は後縦隔経路再建例に多く,また若年者や多飲酒例に重症例が,挙上胃管潰瘍や出血性胃炎は後縦隔再建例,特に術後照射例に多い傾向をみた.6か月ごとの内視鏡検診で発見された2次癌は縮小治療や機能温存根治手術が可能であつた.1985年後遠隔時に再手術した24例の内訳は頸部食道癌8例,胃管癌4例,挙上胃管内鬱帯4例,吻合部狭窄~瘻孔4例,挙上胃管潰瘍穿孔2例,断端再発2例であった.胃管癌や胃管のトラブルの処置には他再建経路に比べ胸壁前経路再建が有利であった.
索引用語
esophageal cancer, reconstructed route, postoperative disorder
日消外会誌 28: 2057-2061, 1995
別刷請求先
井手 博子 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科
受理年月日
1995年6月14日
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