特集
経口摂取からみた食道再建術後の問題点と対策
河野 辰幸, 吉野 邦英, 永井 鑑, 井上 晴洋, 長浜 雄志, 三宅 智, 出江 洋介, 中村 正徳, 奈良 智之, メタセート アッサダー, 堀 光, 遠藤 光夫
東京医科歯科大学第1外科
食道癌の外科的切除では避けることの難しい食道再建に関して,特に嚥下と経口摂取に関する問題点について検討し,その評価法と対策に関して考察した.対象は最近10年間に外科的切除再建を行った483例で,愁訴については,無再発で生活状況の詳細が十分把握でき,1年以上経過した153例の中から,胃による再建134例を選択した.内訳は男性119例,女性15例で,術後の経過期間は平均42か月,経路は胸骨後95例,後縦隔29例,他10例であった.愁訴はごく軽微なものも含めると128例(96%)に見られたが,日常的に異常を感じているのは62例(46%)であり,停滞・膨満感,ダンピング様症状などであった.食道再建術後の経口摂取に関するある程度の症状は不可避的なものともいえるが,これらも排出能検査などにより病態がより客観的に把握され,生活指導や薬物療法の指針となった.また,最近では挙上胃の胃電図が簡便に記録可能となり,各種の負荷検査も容易なことから,新しい評価法として期待される.
索引用語
esophageal reconstruction with a gastric tube, oral intake after esophageal reconstruction, electrogastrography (EGG)
日消外会誌 28: 2072-2076, 1995
別刷請求先
河野 辰幸 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1995年6月14日
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