早期胃癌多発病巣例の治療法の選択

熊井　浩一郎, 桜井　嘉彦, 星屋　泰則, 吉田　昌, 大谷　吉秀, 久保田　哲朗, 北島　政樹

慶應義塾大学外科

　早期胃癌多発病巣例の治療法の選択について，胃切除例および内視鏡治療例から検討した．多発病巣例は43例で，単発癌807例に比べて高齢者，男性が多く，病型はIIcが多数を占めたが，隆起型癌（30.2％），分化型癌（83.7％）の頻度が高かった．深達度は，主病巣は67.4％がsm癌で，副病巣は86.9％がm癌であった．リンパ節転移は主病巣smの3例に認められたが，単発癌と大差はなかった．局在はM，A領域に多かった．D2郭清の頻度は41.2％であったが，遠隔成績は単発癌と同等であつた．内視鏡治療例は良好な経過を示したが，同時性，異時性の癌腫，腺腫への配慮の重要性が示された．
　分析の結果．多発病巣例に対しても巣発癌に準じて，開腹縮小手術・標準手術，内視鏡的粘膜切除術，腹腔鏡下手術の選択的適応が可能であると判断された．

索引用語
multiple early gastric cancer, histopathological findings, selection of surgery for multiple early gastric cancer

別刷請求先
熊井浩一郎　〒160　新宿区信濃町35　慶應義塾大学医学部外科

受理年月日
1995年6月14日

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