特集
残胃再発から振り返ってみた多発胃癌の問題点と治療方針
小寺 泰弘, 山村 義孝, 鳥井 彰人, 上坂 克彦, 平井 孝, 安井 健三, 森本 剛史, 加藤 知行, 紀藤 毅
愛知県がんセンター消化器外科
縮小手術の普及によリ一層重要な問題となりつつある多発胃癌は,全割標本の詳細な検討により,相当高頻度に見られることが明らかとなった.そこで,われわれは過去16年間の多発胃癌および同期間中の胃癌手術後に診断された残胃の癌について検討した.多発胃癌は治癒切除例中6.4%に見られ,その臨床病理学的特徴は既に報告されている通りであった.残胃の癌の頻度は1.8~2.8%であり,これをすべて同時性多発胃癌の見落としと仮定してもわれわれの多発胃癌の頻度はなお最近の報告に比べ少なく,残りは胃切除時に同時に切除されているものと考えられた.したがって,局所切除,EMRなどでは,多発胃癌の見落としは必発とも考えられるが,残胃の癌の予後は診断率の向上にともない改善しており,多発胃癌の見落としを常に念頭においた術後フォローアップを行うことが縮小手術を行う上での必要条件と考えられた.
索引用語
multiple gastric cancer, gastric remnant cancer
日消外会誌 28: 2092-2096, 1995
別刷請求先
小寺 泰弘 〒464 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター消化器外科
受理年月日
1995年6月14日
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