特集
多発胃癌の治療法の選択
仁瓶 善郎, 三島 好雄
東京医科歯科大学第2外科
同時性多発胃癌の治療上の問題点を検討するために,当科において切除された初発胃癌切除例654例を対象とし,多発胃癌の特徴を検討した.さらに関連施設における症例を含めた100例の多発胃癌を解析した.多発胃癌は,高齢者,男性に多くみられ,主病巣では,早期癌,高分化型が多い傾向にあった.主病巣がA・M領域のものでは副病巣もA・M領域に認められることが多く,C領域に存在する副病巣はそれぞれ4.5%,10.5%であった.副病巣と主病巣の距離は主病巣がA・M領域のものではいずれも主病巣から5 cm以内に存在しているものが80%以上をしめた.C領域に主病巣のあるものでは分布に一定の傾向は認められなかった.副病巣では早期癌が多く,大きさは1.8±1.5 cmで,2 cm以内のものが多数を占めた.多発胃癌の術前診断における見落としを少なくすることに配慮することに加え,今後さらに増加すると考えられる縮小手術の適応になる病巣に対しては,特に主病巣より5 cm以内の観察が重要であると考えられる.
索引用語
multiple gastric cancer
日消外会誌 28: 2102-2106, 1995
別刷請求先
仁瓶 善郎 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第2外科
受理年月日
1995年6月14日
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