症例報告
挙上空腸脚動脈により右肝動脈を再建した中部胆管癌の1例
道家 充, 加藤 紘之, 本原 敏司, 奥芝 俊一, 高橋 利幸, 原 隆志*
北海道大学第2外科, 勤医協中央病院外科*
右肝動脈に浸潤した中部胆管癌に対し,右肝動脈再建を伴った幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した.症例は64歳の男性.閉塞性黄疸で入院した.経皮経肝胆道ドレナージで,中部胆管に狭窄を,血管造影検査で右肝動脈に不整狭窄を認めた.右肝動脈に浸潤した中部胆管癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を予定した.腫瘤と右肝動脈は剥離不能であり,浸潤部を合併切除した.この際,右肝動脈からの血液の逆流を認めなかった.胆道再建に用いる挙上空腸脚とともに第2空腸動脈を肝門部に持ち上げ空腸動脈と右肝動脈吻合を施行した.術後経過良好で血管造影により右肝動脈の開存が確認された.本例は左右肝動脈の交通が不良であり,右肝動脈再建の適応と思われた.挙上空腸脚動脈は胆道再建を伴う胆膵手術時の肝動脈再建の選択肢の1つになりうると思われる.
索引用語
reconstruction of the right hepatic artery
, jejunal artery of the effernt limb, carcinoma of the biliary tract
日消外会誌 28: 2200-2204, 1995
別刷請求先
道家 充 〒006 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学医学部第2外科
受理年月日
1995年6月14日
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